時計と記憶

0
2

私の小学校の入り口には大きな花時計がある。
時計を彩る花はどれも綺麗で枯れた花なんて見た事がない。これも用務員さんのおかげね。
「いやいや。私は花のお世話はしていないよ。あれはね、妖精さんが綺麗にしてくれているんだ」
用務員さんの話に私は目を輝かせる。妖精さんを見てみたい!
私は花時計を見張り始めた。が、いつまで経っても妖精さんは現れない…
諦めて帰ろうとした時、小さな影が花の間を走った。それに手を伸ばす。
私が捕まえたのは小鬼だった。ギィギィと汚い声を上げる醜いそれは手に如雨露や肥料を持っている。
この子が妖精の正体?私は小鬼に「いつもありがとう」と言って飴玉を渡した。
キョトンとする小鬼は飴を食べて目を輝かせた。

「その日からだよ、ウチの庭が凄くキレイになったのは。あの妖精さんがウチに来てくれたんだ。ま、小学校の先生からは怒られたけどね」
祖母は自慢の庭を眺めては楽しそうにそう話す。
ファンタジー
公開:22/01/12 20:29

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容