斬新な作曲家

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新進気鋭の作曲家と評判の男、今日も一流の評論家達を呼んで、新曲の発表会が行われる。
いつも大絶賛の会場には甘い香りまでが流れるという。
「いやぁ、新しい、今日も素晴らしい出来だ」
「まったくです、何故いつもこんなに斬新なんでしょう」
「ここに居ると、嫌な事も忘れてしまいますな」
一流の評論家達の絶賛ということもあって、音楽ファンもそういうものだと有り難がる。
男の名声は高まるばかりだった。
今日も新曲の発表会、たまたま遅れて来た評論家が会場に入ってふと思った。 
「あれ? 何だか聴いたことあるような……」
しかし、聴いているうちに素晴らしく斬新に思えてくる。
作曲家の男は発表後、満足そうな顔で聴衆を眺めた。
「ふふ、この記憶を消す香りがあれば、私はいつも新しい」
SF
公開:22/01/13 18:00
作曲家 斬新 香り

ちさとりゅうじ( 神奈川 東京 )

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