記憶喪失の男

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中年の紳士が病院に連れて来られた、付き添いは警察官。
紳士には記憶が無いらしく、身元も判らずに困っているとのことだった。
「酷い痴呆症に似ていますが、原因は分かりかねます」 医者もお手上げだった。
「まるでボケ老人と会話しているようですよ」 知り合いの探偵もお手上げ。
ヤケになって占い師に見てもらうも、具体的な手掛かりは出てこなかった。
扱いに窮した警察は紳士を介護施設に預けるしかなかった。
周りは痴呆老人ばかり、だが身寄りが分かるだけいい、紳士はそれも分からぬまま月日は過ぎた。
だが、紳士が周りの老人達と違和感なくなり始めた頃、奇跡が起こった。 記憶が少しずつ戻り始めたのだ。
それは段々と鮮明になっていき、紳士はこの世を去る直前になって全てを理解した。
「記憶の逆行には成功したようだが、副作用か……」 
紳士は自分が痴呆症の薬を開発して、自分に試したことを思い出した。
SF
公開:22/01/14 06:00
記憶喪失 痴呆 薬

ちさとりゅうじ( 神奈川 東京 )

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