秘密ポスト

ある街に「秘密ポスト」なる物が設置された。　郵便局に秘密専用の便箋と封筒が置かれた。
恋愛、悪事、趣味、などで色分けされ、秘密の大きさによって大きさの違うハートのシールが貼られる。　何故かというと、秘密が暴かれる本人のショックを和らげるためだ。
これは政府による実験的な政策であり、隠し事を無くして犯罪を減らそうという、モデルタウンなのだ。
住人には自分や周りの人の秘密を報告する義務があるが、政府にではなく秘密を握った相手にである。　脅迫にも思えるが秘密をなくすのだから、脅迫にはなり得ない。　そして、秘密にすることを無効化するのだ。
かくして、計画的な犯罪はなくなり、夫婦間の不和や恋人同士の相性も良くなった。　秘密の趣味を持つ者が知り合い、マニアも喜んだ。　しかし、ある時、誰かが呟いた。
「これって、メールの方が楽じゃね？」
それは、政府の秘密らしい。