瓜二つの生命体

4
5

『奴らの生態何か分かりましたか』
自分達以外に知的生命体がいた。当初の興奮は落ち着きつつある。
『そう結論を急ぐな』
偵察機から送られてくる映像や採取したサンプルを入念に分析する。
『驚愕の連続です。先の偵察部隊の報告では生物学的進化、概念の構築や文明の発展までほぼ類似してます』
そう、散々探し求めた癖にいざ見つかったのが瓜二つの生命体だった。
喜びは束の間で不安と恐怖に変わった。
『速報です!やはり奴らも現在未知のウイルスによる疫病の恐怖に晒されているようです』
『くそ!なら我々と同じ末路を…しかし奴らはえらく呑気だな』
『そこは…どうも我々には無い概念が起因している様です』
『我々に…無い?』
『「だとしても絶対に私は死なない。私だから」という概念です。「過信」と呼ぶそうです』

奴らが「地球」と名付けた青く輝く惑星を見下ろす。
溜息が漏れる。
『掴めない奴らだな。人間という生命体は』
SF
公開:22/01/12 11:55

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容