時計と記憶

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夏休み明けの教室で生徒が喧嘩をしていた。
原因と聞くと涙目で私に自由研究を見せてくる武。
何々…時計の秒針に万歩計をつけて調べてみた?面白そうじゃないか。
ノートを捲る。初日は86400歩。1日の秒数だな。
それが1週間ほど続いた後、翌週からは7万歩、6万歩、少ない時は5千歩ほどしか歩いていなかった。
電池が切れてきたのか?とも思ったがそうではないらしい。武の研究によると時計は時々歩くのをサボるようだ。面白いじゃないか。
だが4週目のそれを見て私も顔を顰める。成程…これで皆から否定されていたのか…
私は提案する。武の自由研究を教室の時計で試してみようと。
生徒達はそれで納得した。

1か月後、私は生徒達に問いかける。
私の記憶が正しければ、秒針は短針より細かったはずだ…
教室の時計は今、武の自由研究と同じように万歩計を担ぎ歩いた事で筋肉がついたのか太くなっている。歩数も10万を越えている。
公開:22/01/11 20:42

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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