ロマンスの神様

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冬の匂いがした。溜め息から白い息が夜の厳しい寒さの風に乗って流れていく。別れ。大好きだった彼との別れ。それは突然の事だった。

「――だからさ、別れよう」
「……そっか。わかった。うん。……今までありがとうね。元気で」

分かっていた。遠距離恋愛なんて無理だって。彼の仕事の転勤で、片道8時間かかる距離になる。そう簡単に会える距離でなくなった。私にとっても彼にとってもこの決断が最善なのだ。

「あーあ。今日、恋愛運最高って占いで出てたのにな。嘘ばっかり……」

涙を流しながら歩いていると、目の前で男の人がカギを落とした。

「あっ……」

私は声をかけた。

「あのっ!!カギ落としましたよ」
「えっ!?ほんとだ!!ありがとうございます。……あれ?ミキちゃん?」
「えっ?」

そこにいたのは、大学時代のスキーサークルの先輩だった。偶然だねと先輩は笑った。

ロマンスの神様、この人でしょうか?
公開:21/11/12 10:01
更新:22/01/11 20:07

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
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