報復

騙された。
そう思った時には、何もかも失くした後だった。だから、おれは復讐するために生まれ変わった。

おれは透明のガラスケース越しに、奴が来るのを待った。そしてとうとう、奴が姿を現した。
おれは、奴好みの上品な上目遣いでじっと奴を見た。目が合った。

「あの子を頂戴。」

こうしておれは奴の“お気に入り”になった。

月日が流れた。おれは好機を待っていた。そして。

ついにその時が来た。

「おいでペクちゃん」

いつものように奴が甘い声でおれを呼ぶ。おれは、にゃあ～んと猫撫で声で近づき、膝に乗る。奴は愛しそうにおれを撫で、更に甘やかそうとする。

部屋にはおれと奴だけ。

刹那。

おれは奴の喉元に思いっ切りかぶりついた。

奴は悲鳴を上げる間もないまま絶命した。
おれはその亡骸を睨み付けた後、悠々と窓から出ていった。

後には、赤い判子のような猫の足跡だけが残っていた。