油断

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「そろそろ行くか」

花の蜜で腹を満たした蝶々が、大きな羽根を広げて飛んで行く。

ふと、下を見ると、草の上で蟷螂が他の蝶を捕まえてバリバリと頭から食べていた。大きな羽根は鎌の中でぎしゃりとひしゃげて、無惨に散りかけている。悲鳴すら上げる間などなかったのではなかろうか。

「運がなかったな。」
自分も気をつけなければ。
そう思い、前を向いたとき。

ベタッ!

何だ、これは…。

気がつくと、細い糸が張り巡らされた中に突っ込んでいた。糸は粘着性を持っており、もがけばもがくほど強くくっついてくる。

しまった…

頭上を見ると、鋭い牙から唾液を滴らせた「あいつ」が降りてくる所だった。

怖い、怖い、、、!

必死に脱出しようとするも、糸は絡まるばかり。

嫌だ、嫌だ、、、!!

長く黒い脚が取り囲む。

最後に見たのは、ギラリと光る八つのガラス玉に映った、青白い顔だった。
ホラー
公開:21/09/12 13:53

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