名もなき花の話

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退院の際、患者さんが私に花をくれる。退院祝いの花束の中から1本、お礼の気持ちを込めて譲ってくれる。患者さんが無事退院してくれる事の次に、花が好きな私にとって嬉しい事だ。
デスクに貰った花を早速飾った。花を見ると元気が出てくる。もっと頑張ろうって思えてくる。
私は望まれるがままに患者さんに寄り添い、寝食も忘れ仕事に没頭した。そんな私が倒れるのは必然だった。
医者の不養生とはよく言ったものだ。まさか私が入院する羽目になるとは…

退院の際、私も花束を貰った。嬉しいはずなのに複雑な気持ちだ…
私は職場復帰するとデスクに貰った花束を飾った。これは私の失敗の証明だ。
花束を目にしたらオーバーワークにならないよう注意しないと…
それを同僚に話したら、同僚は私が疲れているように見えた際、デスクに造花を置くようになった。
以来、ウチの病院では名もなき造花の花言葉が「働き過ぎに注意」と言われるようになった。
公開:21/09/12 20:32

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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