名もなき花の話

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古書店で働く私はその本を手に取り首を傾げる。
全ページ白紙。タイトルもない。まるでノートのようだ。
本には押し花の栞が挟まれていた。白紙の本に何で栞が?
「もしやそれは本を内容を食ってしまう妖の花かもしれんな」
店長が栞を見つめ呟いた。
「その花に内容を食われた本はその存在を忘れ去られる…なんて、冗談じゃよ」
はぁ…とため息を吐く。店長の悪ふざけにも困ったものだ。
でももしそれが本当だったら…
私は彼の家に行くと彼の日記に栞を挟み込む。
シャクシャクと音がする。日記を開くと内容が消えていた。
店長の話は本当だったんだ!
私は白紙の日記に彼との日々を書き綴り始めた。

彼が帰ってきた。私に「誰ですか?」って聞いて来たから貴方の彼女よと答えた。
「ああ…そうだった。ごめん忘れていたよ」
謝る彼に私は微笑む。
「アヤカよ。もう忘れないでね」
あの花の栞のおかげでストーカーからやっと彼女になれた…
ホラー
公開:21/09/10 21:07

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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