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3Dプリンタを搭載したドローンが、基礎の上に建物を作る。建築技術は格段に進歩した。

昔の大工は汗水流して家を建てた。家を建てるためには何でもやった。
今の俺たちの仕事といえば、いかにプリントしやすい家の図面を引くか、ドローンの管理をするか。現場仕事はドローンと統率システムの役目だ。

俺は仕事部屋の窓から、無数のドローンが飛ぶ空を見た。かつては電柱が立ち並び、電線が空を覆っていたという街の光景は、そこには無い。埋蔵電線の徹底と、自家発電の効率化の結果だ。インフラの進歩も目覚ましい。ドローンが自由に飛び回れるよう、街の在り方は変化したのだ。

ふと、大工の仕事がこれからどうなるのか、疑問に思った。人間が家を必要とする限り、この仕事は無くならない。だが。。
ドローンの作り出す建物群は規則的に並び、まるで俺たち大工の墓標に思えた。
その他
公開:21/09/10 18:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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