第二次ロストジェネレーション

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たとえばスーパーから、人が消えた。

店員はロボットだった。レジに立つのも、料理をするのも、掃除をするのも、棚出しをするのも全てロボットだった。
客もロボットだった。指定されたルートで、指定された製品を淡々とカゴに詰めていた。

人は人としてしか生きられないのに、人が住まう世界に、人は必要なくなっていた。


時は過ぎ、世間は空前の手料理ブームだった。
人々は人の手の温もりを懐かしみ、欲していた。

手料理ブームが遠のいてもその傾向は変わらず、人々は多種多様なビジネスに介入していった。

たとえばスーパーに、人が現れた。

店員は人だった。レジには人がいて、モップやフライパンを操る人がいて、脚立に跨る人がいた。
客も人だった。これは安い、あれは高いなどと次々と思考を巡らせながら、縦横無尽に歩き回っていた。

人は人としてしか生きられないから、人が住まう世界に、人がいることの価値を見出した。
SF
公開:21/09/11 18:18
更新:21/12/04 15:52

おの

趣味で短編小説を書く大学生です。
思いついたとき、思いついただけ。

https://twitter.com/ono_syy
 

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