伝心柱
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人と人が心の底から分かり合い、平和な世の中を作る為に国会で可決されたのは、日本全国のありとあらゆるところに伝心柱を立てるという法案だった。伝心柱は、人の心の状態を感知するセンサーを取り付けた電信柱のような高い柱である。国の方針としては、日本に存在する電信柱の数と同等の数の設置を目指すという。先行して日本の首都、東京都に伝心柱が数多く建てられた。その結果、人々は互いに本音で語り合い、お互いに腹の底で何を考えているのだろうかという疑心暗鬼に陥る事もなくなった。しかし翌年、東京都の人口は、大幅に減少する事になった。その理由は、自分の本音がダダ漏れになる事が嫌だったからだ。本音が出る事で他人との予期せぬトラブルも多く起きた。人々は、伝心柱のない地域へと逃げていき、ついには地方の限界集落と呼ばれるようなところにも人口が集中していった。国は、意図していない形で限界集落問題を解決したのだった。
公開:21/09/11 10:56
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