タイムカプセル

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「やっぱりスケッチブックか」
「外島」
 中学生の時に埋めたタイムカプセルを掘り出す日だった。外島は野球ボールを握りしめていた。
「十年なんてあっという間だったな」
 ヒュンと体育館の壁に向かって投げた。
「中身は見てないのか?」
「ーーどうせ下手な子供の絵だよ」
「今のお前に見せたかった物だろ」
「お前こそ」と言いかけて言葉を飲み込む。外島は怪我をして野球を辞めた口だった。
「言ってやろうか」
「知ってる訳ない」
 埋める当日の朝、新品のスケッチブックに一枚だけ描いたのだから。
「絶対建築家になる、だろ」
「見たのか」
「当てずっぽうだよ」
 塾をサボって建築雑誌を立ち読みしていたのを見られたのかもしれない。
「今からでも遅くないんじゃないか。生きてるんだし」
「簡単に言うな」
「なあ、やってみろよ」
 反論しようと振り向く。
「外島?」
 古びた野球ボールが転がって足先で止まった。
青春
公開:21/09/08 20:56
タイムカプセル

射谷 友里

射谷 友里(いてや ゆり)と申します
十年以上前に赤川仁洋さん運営のWeb総合文芸誌「文華」に同名で投稿していました。もう一度小説を書くことに挑戦したくなりこちらで修行中です。感想頂けると嬉しいです。宜しくお願いします。

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