名もなき花の話

0
2

天寿を全うし、あの世へとやってきた私を迎えたのは鬼でも死神でもなく、迷子の幽霊だった。
何でも賽の河原の積石を遠くまで探しに来て帰れなくなったそうだ。
私は迷子を背負った。石の重さもずっしりと背中に感じる。なぁに、軽い軽い。安心して。ちゃんと皆の所に帰してあげるからね。
私は迷子を背負い、歩き続けた。何時間も、何日も歩き続けた。これ自体が罰ではないかとも思うも私は絶対に迷子を下ろさなかった。
そしてやっとたどり着いた。子供達が、私が背負う迷子を見て「やっと見つけた!」と駆け寄ってきた。迷子も私の背中から降り、皆との再会を喜んでいる。
「ありがとう。お礼にいいものを見せてあげる」
子供達に連れてこられたそこには立派な石造りの橋が架けられてあった。
「これ、僕達がロックバランシングで作ったんだ。石花の架け橋だよ」
子供達に手を引かれ完成したばかりの橋を渡る。三途の川を越えればそこは天国だった。
公開:21/09/08 20:22

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容