火葬場と大泥棒とポックリ親父の遺骨の中身

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「骨上げは2時間後」親族待合室に弟が戻り兄弟が揃った。
喪主が呟く。「親父は死んでない」
「何よ兄さん」戸惑う妹。
「分かるよ。病気一つしなかった親父がポックリ逝ったんだ」と弟。
「違う。昔空き巣に入られたろう?」
「あぁ家中根こそぎやられたな」「結局犯人捕まらなかったしね」
「暫くして落ち着いた頃、親父がある日突然言わなくなった」
「何を?」
「…俺は世界を旅したい」「あー。そうだっけ?」
「毎日聞かされたじゃないか。それがまるで人が変わった様に無口になった」
「兄さんちょっと横になったら?」
「本当に変わってたんじゃないか?」「兄貴?」
「お袋が死んだ時、親父は全く泣かなかった」「それは気丈に…」
「お袋の死は想定しなかった…戻るつもりだったから」
喪主はロボット研究の権威と言われた男の遺影を見る。
「骨は出ない。多分あの日盗まれた物の部品が…」

狼狽した火葬場職員が駆け込んで来た。
SF
公開:21/09/08 13:58

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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