捨てられたタオル

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今日まで毎日使わせて貰って有難う。私にそう声が掛けられ、ゴミ袋の中に入れられた。
埃や枯れて傷んだ野菜や齧られた果物もいて元の姿は無く、横に来るまで林檎だと気付かなかった。中の皆がシューンとしていたので、私は声を掛けた。
今度何になりたいと野菜に聞くと、勿論野菜さ太陽を一杯浴びて水を沢山飲めたもの。果物もやっぱり果物だと答え、朝の冷たい空気に包まれた目覚めは最高だったと。皆が君はと、尋ねたので勿論タオルさと答えた。

毎日使ってもらえ、最後は雑巾に変身し掃除にも大活躍でき幸せだったな~とおしゃべりしてる間に、ゴミ収集車に乗せられ焼却場に着いていた。
隣には衣類の袋もあり、その中に私が憧れていたブランド服もいた。
タオルからボロ雑巾になっていた私を見つけ、君は良かったね、毎日使って貰えて、僕はたまにしか着て貰えず最後はポイされたんだ。と悲しそうに言った。
焼却炉の口が開き、皆で中へ入った。
ファンタジー
公開:21/09/08 10:05

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