名もなき花の話

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花の都を訪れた私は新種の花を見つける祭に参加した。
花の都には多くの未確認の花が存在している。それを見つけようと祭の参加者は野山は勿論、街中の花壇まで目を皿のようにして探している。
地元の人があれだけ探しても見つからないんだ。ただの旅行客の私に見つけられるわけがない。
空を見上げ、息を吐く。あれ?あの曇って畝雲ではないだろうか?曇天にはなるが雨が降る事はそんなにない雲の事だ。
私は畝雲にカメラを向ける。ぽつり、と雨粒が落ちてきた。
珍しい事もあるものだと傘をさす。周りの人達も傘をさす。
その様子に『畝雲が傘の花を咲かせました』とメッセージを添え、SNSにアップした。

後日、私は警察署に呼ばれると感謝状を頂いた。
何でもあの時撮った写真に指名手配犯が写っていたらしく、それが決め手で逮捕に至ったのだと。
祭では何の結果も残せなかった名もなき花の写真が役に立つとは、人生何が起こるか分からない。
公開:21/09/09 20:24

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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