カルボとキシル

10
4

見渡す限り瓦礫の都市。ロボット二台だけが作業を続ける。何があったのか。気候変動、洪水、地震、感染それから戦争がいくつか。記述すれば厚い歴史書ができるが、書く人間はもういない。地球上から人間は消えた。わずかなロボット。この地区で残ったのはカルボとキシルだけだ。他国はわからない。事態が明らかになるには数年かかるだろう。通信手段も情報機関も壊された。
カルボとキシルは瓦礫から鋼板を集めては鋲打ちして繋ぐ。カルボが拾った鋼板を均して建てる。キシルがそれを鋲で打ち止める。二人はずっと建設現場で働いてきたのだ。大きさや形が様々な鋼板を二人は器用に繋いでゆく。鋼板の塀が何日かすると上に伸びてドームとなった。
ドームでカルボとキシルは一休みする。
「いつまで建設を続けるんだろう」
「このプログラムしか知らないからな」
「いいドームができた」
「名前をつけよう」
「うん」
「二人の基地、カルボキシル基地だ」
その他
公開:21/09/09 11:15

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容