打ち上げ魂

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ドンという音とともに花火が上がった。
「いまのお父さん?」
「ううん。違うわね」
ドン。
「いまのは?」
「お父さんだったら分かるから、静かに見てなさい」
ドン。
「……」
「……」
ドン。
「……」
「……」
ドン。
「いまの、お父さんだったね」
「そうね」
ドン。
「ねえ、ほんとうにもう会えないの?」
「……」
ドン。
「お母さん?」
「……」
ドン。
「泣いてるの?」
「ごめんね。でもこれできっとお父さんは天国へ行けたから」
ドン。
「そっか……」
少年とその母親は、空を見上げながら二人で泣いた。
公開:21/09/07 21:50

田坂惇一

ショートショートに魅入られて自分でも書いてみようと挑戦しています。
悪口でもちょっとした感想でも、コメントいただけると嬉しいです。

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