名もなき花の話

海の底に沈められた沈没船。昔は多くの人を乗せていたそれは今や魚の住処と化している。
私は中へと入り、調査を始める。貴金属の類は残されていない。元々積んでいなかったのか、もうすでに盗まれた後か…
さらに調査を進める。闇が支配する船底に光を放つ何かを見つけた。私はそれに近づくと思わず息を飲んだ。美しい…
そこには海の中であるにも関わらず、美しい花が咲いていた。思わず見惚れてしまう。
見た事のない花だ。新種か？しかし何故、こんな所に花が…その答えはすぐに分かった。私の背後からクラゲの大群が現れた。
クラゲの放つ光であの花は光合成をしているのか！？何度も衝撃に見舞われる私。つい、手に持った懐中電灯を花の中へと落としてしまった。
ばくんっ！と花が懐中電灯に食らいついた。そしてその花、懐中電灯を取り込んだせいか、周囲の花より少し明るくなった。
そこで気づいた。花の苗床に多くの白骨死体が沈んでいる事に…