浜辺を走る女

走る女は美しい。どこまでもつづく砂浜を女が太陽の光を浴びて走る。
「そろそろ脱ぎます」男の声がした。
脱ぐって、ビキニの水着を？インパクトあるな、と思うまもなく走る女の皮膚がばらばらと剥がれて水着と共に空に広がると、長い髪の毛も後ろに飛んだ。小麦色の肌が飛び散ると女は透明なゼリーのような身体。ぐにゃぐにゃの半透明の身体に青空と海が踊った。
「見事でしょう」
「彼女の身体はいったい？」
「半透明エアロゲルを最大限使用したロボットです。まだ走ります」男がいうと女ロボットはUターンしてこちらに走ってきた。すごいスピード。半透明ゼリー状で見事なプロポーションのスキンヘッドの女だ。そして俺の目の前に来ると全身がぱあっと弾けて大きな花束になった。
「リハーサルはここまでで」と男が立ちあがた。
結婚式の前日。屋外パーティで人目を引くイベントを注文したのだ。高くついたけれど明日はみんなをあっと驚かせよう。