極楽追放

「やあ、今極楽にいるんだ。そっちはどう。相変わらず神経削ってる。こっちは天国いや極楽だぜ」

極楽にいるケンジからメールが来た。どうせケンジの事だからずるい手を使って極楽にいるに違いない。あいつが正攻法で極楽に行けるわけがない。

「仏さまってすげーんだ。光がさしてて人じゃないみたい」

そりゃそうだろうと思って、返事を返す。

底辺高校を要領の良さで勉強をせずに卒業しやり手の営業マンになったケンジは、何をどうしたか知らないが極楽浄土に滞在している。

私みたいな真面目以外に取柄のないタイプには手の届かない極楽。でもケンジはもっと向かないはずなのになぜかそこにいる。

閻魔大王のお裁きをどうやってかいくぐったのか聞いてみたいものだ。

そんなある日、ついにケンジが極楽から追い出されたという知らせがあった。

元居た人間界に戻されるという。地獄じゃなくて良かったな。