くじらラジオ
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今日もリスナーさんのために楽曲を提供しなくてはならない。そして心の安らぎも。
「次は名もなき船長さんのリクエストで雪と花火と魂」
堅い骨格に囲まれた空洞の中で、曲をアカペラで歌う。ここはくじらの副鼻腔。骨を伝わって響き渡る私の声。果たして何人の人が消化されずに聴いているのか。
リスナーは皆くじらのお腹の中にいる。胃袋で溶かされる前のひと時を、人生最後の時間を好きな歌で癒しつつ送りたい。
そう考えて私は胃袋から血管を抜けて放送室にたどり着いた。
私だって大変だ。栄養はそこらのクジラの肉からつまみ食い。
でもそろそろ限界かもしれない。
栄養の偏り、運動不足。なにより頻繁に起きる酸欠。
よくここまで持ったものだ。
私がいなくなれば、このくじらラジオも終わる。
閉ざされた世界でのひと時の救い。
その歴史さえも、誰も知らないし、どこにも残らない。
全ての飲み込まれた人たちに幸あれ。
「次は名もなき船長さんのリクエストで雪と花火と魂」
堅い骨格に囲まれた空洞の中で、曲をアカペラで歌う。ここはくじらの副鼻腔。骨を伝わって響き渡る私の声。果たして何人の人が消化されずに聴いているのか。
リスナーは皆くじらのお腹の中にいる。胃袋で溶かされる前のひと時を、人生最後の時間を好きな歌で癒しつつ送りたい。
そう考えて私は胃袋から血管を抜けて放送室にたどり着いた。
私だって大変だ。栄養はそこらのクジラの肉からつまみ食い。
でもそろそろ限界かもしれない。
栄養の偏り、運動不足。なにより頻繁に起きる酸欠。
よくここまで持ったものだ。
私がいなくなれば、このくじらラジオも終わる。
閉ざされた世界でのひと時の救い。
その歴史さえも、誰も知らないし、どこにも残らない。
全ての飲み込まれた人たちに幸あれ。
ファンタジー
公開:21/09/04 20:07
がんばってたくさんの作品を書きたいです!
よろしくおねがいします。
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