現代の忍者

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僕の父は忍者だ。夜の闇に紛れ、暗闇から社会を守っている。
そんな父がある朝、負傷して帰ってきた。その背中にはいくつもの手裏剣が刺さっている。
心配する僕をよそに母は手際良く手裏剣を引き抜くと素早く治療を始めた。
僕は血のついた手裏剣を手に取る。手裏剣とは忍者にとって名刺のようなもの。一体どこの会社の忍者に父はやられてしまったのだろう?
血を拭い、手裏剣に書かれた文字を読む。
『くのいち茶屋』『胡蝶の夢』『おしおき御殿』
ピンクの手裏剣に書かれた店の名前。そして、やたら難しい漢字の女の人の名前。「お殿様コース、ご利用ありがとうございます」の文字。
僕はピンクの手裏剣を黒の手裏剣へとすり替える。
まったく…忍者の子も楽じゃない。今朝も負傷の騒乱に紛れ、夜のお店から父の尊厳と家庭の平和を守っている。
公開:21/09/05 20:59

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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