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秋の日はつるべ落とし。外は浅緋色。我ながら良い文句だ。
都会の喧騒から逃げ隠れた人々が集うカフェ。一時の癒しを得るためにある空間だ。
だが外も中も変わらない、普通も異常もない。
男女5人組の連中が和気藹々と話題を自分の話にすり替えていく。皆同じような格好、きっと大学生だろう。いやそんな決めつけは良くないな。その隣には、迷惑顔の中年がパソコンで負けじと音を鳴らす。気づけよと言った様相。離れたところに、上京丸出しの少年に夢を熱く語る、いかにもな20歳後半の男。自分が幸せならそれでもいいと思うぞ。
その他諸々の雑多が入り混じる。
まだかな。
小綺麗な格好をした女が入ってきた。
髪は?
ショートの明るい茶色だ。
店内が見渡せる奥の席に居座る男は、やぁっときた。今回は三時間も待った、次はもっと簡単な条件にしようと落胆と狂喜する。
男は、この後どうしてやろうかと思案し始め、女が出ていくのをまた待った。
ホラー
公開:21/09/03 19:06

ひみず( 東京 )

気まぐれ日記感覚で自分の好きな話を書いていけたらいいなと思ってます。

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