姉への嫌悪感

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姉のことが小さな頃から嫌いだった。顔も直視できないような嫌悪感を姉に対して抱いていた。
姉は自分のことを嫌うどころかむしろ可愛がったが、その全てが鬱陶しかった。

ある日、生物の授業で動物は血縁者に親しみを感じて助けるように行動すると教わった。それが遺伝子に刻まれた本能なのだと。

そこで一つの疑念が生まれた。

姉は自分と血がつながっていないのではないか?余所者が何かの手違いで自分の家族に紛れ込んだのではないか?
だとすると合点がいく。

姉は自分の家族に巣食う卑怯な寄生虫で、自分が抱いた嫌悪感は遺伝子に刻まれた防衛本能だったのだ。

その疑念と姉への嫌悪感は日増しに大きくなり、ついには自分と姉、両親の毛髪をこっそり集めてDNA鑑定業者に送った。

1週間ほどで届いた検査結果を見て、体中から血の気が引いた。


余所者は自分の方だった。
ホラー
公開:21/09/03 18:42

リンムー( 東京 )

大学生
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