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数年前に亡くなった祖母の家を譲り受け、古民家風の別荘にリフォームした。今年の夏休みは家族を連れ、初めてそこでのんびり過ごすことにした。その家は海が見渡せる高台にあり、黒潮に乗って届く海風が心地よいのだ。しかし、滞在3日目に台風が直撃し、暴風雨の中、いきなり部屋の電気がぷつりと消えた。停電だ。泣き叫ぶ息子に対し、娘は「お化け屋敷みたい」と興奮した様子。すると、居間にある黒電話が鳴った。ジリリンと。
「私が出る!」と娘が元気よく駆け寄り、受話器を取った。娘は何やらウンウンと頷いている。「お父さん、二階のアマドを閉めてって」
「雨戸? あ、そういえば」と私。
懐中電灯を手に慌てて階段を駆け上がると窓が破れ、縁側の床が水浸しになっていた。暗闇の中、何とか引き戸を閉め終え、娘に尋ねた。
「誰からの電話?」
「私のおばあちゃんって言ってた。この電話機を大切にしなさいって。停電でもつながるからって」
「私が出る!」と娘が元気よく駆け寄り、受話器を取った。娘は何やらウンウンと頷いている。「お父さん、二階のアマドを閉めてって」
「雨戸? あ、そういえば」と私。
懐中電灯を手に慌てて階段を駆け上がると窓が破れ、縁側の床が水浸しになっていた。暗闇の中、何とか引き戸を閉め終え、娘に尋ねた。
「誰からの電話?」
「私のおばあちゃんって言ってた。この電話機を大切にしなさいって。停電でもつながるからって」
ファンタジー
公開:21/09/03 15:46
更新:21/09/03 17:30
更新:21/09/03 17:30
電話
台風
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2022年から米国在住。
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