初めての飲み会

「それでは、かんぱーい」
テーブル席の６人は辿々しくグラスを合わせた。
「えっと、なんか緊張しますね」
「とりあえず自己紹介しますか」
それぞれ初対面の６人は他愛もない話で場を繋いだ。
「意外とちゃんとした所なんですね。料理も美味しいし」
「実は私、ここは２回めなんです。ハハ」
「え、もしかしてＳ中？タカ先知ってる！？」
お酒が進むと緊張も解れ盛り上がってきた。
「ここって２時間でしたっけ？」
「今からワイン攻めるのヤバくないですか」
宴もたけなわ。エプロン姿の教官は注文を締め

「試験を開始します！」
６人はゾロゾロ外の検定コースをあるき出した。
駅のホームを模したコースで早速１人転落した。
電車で１５分乗車する課題で１人寝落ちした。
最寄り駅から自宅を想定した６００ｍ徒歩の間で
階段、溝へ転落、嘔吐の有無、千鳥足の度合いを審査された。

飲酒免許制度が導入された教習所の卒業検定である。