名もなき花の話

0
2

私のとっておきの場所。今は誰も住んでいない大きなお屋敷の大きな庭園。
誰も手入れしていないのにそこは美しい花でいっぱいだ。
幽霊が出るからと言って、皆ここに来ようとしない。ここは私だけの秘密の花園。
そんな私でも、さすがに日が沈み始めると怖くなる。お屋敷から幽霊が出てくるんじゃないかと怯えてしまう。
でも、そんな恐怖を打ち消してくれるものがある。夕方になると咲く茶色い花。見た目は良くないけど、この花からはカレーの香りがする。
このニオイを嗅ぐとぐ~、とお腹が鳴る。茶色い花が咲くと家に帰る時間だ。
晩御飯にカレーが出てくる保証はないけど、家へと走る。怖さより空腹がいつも勝ってしまう。
私はあの花について何度も調べた事がある。だけど、いくら調べてもあの花は出てこない…
もし、あの花を皆に教えたら私は人気者になれるだろうか?
やめておこう。秘密の花園は秘密があるから美しいんだ。暴く必要はない。
公開:21/09/02 20:41

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容