医薬品配達のお仕事

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「ん?このワクチンの配達先、間違えてないか?」
「あぁ、いいんですよ、これは」
医薬品を配達する彼らは、足りない足りないと言われる新型ウィルスのワクチンを、配達先も数量も絶対に間違えないように、普段以上に気を使って仕事をしていた。
「ふうん?それなら、いいんだけど」
「先輩、知らないんですか?」
「知らないも何も、これ、旅館だろ?」
「旅館に医療関係者を交代で呼んで、ワクチン接種できる宿泊って話題になってるんですよ。地元の人限定らしいですけど。部屋で顔を合わさずに美味い飯も食えるし、副反応があっても対応できるし、何より観光業に金が回る」
「はぁー、いいなぁ」
「今じゃ、どうせ予約待ちするなら病院より地元の旅館にするって、人気ですよ」
「…だから得意先の病院、一人ずつ先生の肌がツヤツヤになってたのか」

皆に利益があるようだが、下っ端の俺たちには届け先が増えるだけの話だ。
…今日も頑張ろう。
公開:21/08/31 18:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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