名もなき花の話
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「私が死んだら、あの木に咲いている花を棺桶の中に入れて頂戴」
庭の木に花が咲く度、祖母はそう呟く。何か特別な花なの?名前は?
「さぁ…そもそも私、あの木が何て名前なのかも知らないのよ。だから当然、花の事もよく分からないわ」
それじゃ何であの花なの?
「亡くなったお爺さんがね、”儂は仏になる時、あの花に胡坐をかいて極楽浄土へと行ってやる!”って言っていたのよ。だから、あの花があれば私もお爺さんと一緒の所に行けるかも…と思ってね」
祖母は庭に降りると花の咲いた枝を手折る。
それを仏壇へと供えた。
「それにお爺さん、あれで花や樹木に詳しい人だったからきっとこの花の名前も知っているはずだわ。私はね、極楽浄土でお爺さんに会って、この花の名前を聞こうと思っているの。死んだ後の楽しみよ。だから、スマホで検索なんて無粋な真似はしないでね」
祖母は名を知らぬ花をそっと愛でる。
名もなき花に楽しみを見出して。
庭の木に花が咲く度、祖母はそう呟く。何か特別な花なの?名前は?
「さぁ…そもそも私、あの木が何て名前なのかも知らないのよ。だから当然、花の事もよく分からないわ」
それじゃ何であの花なの?
「亡くなったお爺さんがね、”儂は仏になる時、あの花に胡坐をかいて極楽浄土へと行ってやる!”って言っていたのよ。だから、あの花があれば私もお爺さんと一緒の所に行けるかも…と思ってね」
祖母は庭に降りると花の咲いた枝を手折る。
それを仏壇へと供えた。
「それにお爺さん、あれで花や樹木に詳しい人だったからきっとこの花の名前も知っているはずだわ。私はね、極楽浄土でお爺さんに会って、この花の名前を聞こうと思っているの。死んだ後の楽しみよ。だから、スマホで検索なんて無粋な真似はしないでね」
祖母は名を知らぬ花をそっと愛でる。
名もなき花に楽しみを見出して。
公開:21/08/30 20:20
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
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