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明け方、そっと息子の部屋のドアを開ける。
顔は見えないが今のところ穏やかな寝息を立てているようだ。
息子よすまなかったな。
ずっと単身赴任で久々帰ってきたのが夕べお前が寝た後だった。遅くなったが今日に間に合ったのは幸いだった。
先月課長に出世したけどそれがなんだ。偉くなったってたった一人の息子も救えないんじゃ父親失格。
だから間に合ってよかった。失格と諦めて父親の職務を放棄しては、課長の職務は全うできても何の意味もない。
よし!期は熟した。今いくぞ息子よ。
意を決した私はドアを勢いよく開けた。息子は驚いた顔でこちらをみていた。その目にはうっすらと涙が。私は一層力が入る。
「もう大丈夫だ。泣かなくてもいいぞ。学校なんて行かなくていい。父さんもそうだった。今日が一番辛い日だからな」
私の言葉に息子はポカンとしていたが、やがて言った。
「別に学校楽しいから普通に行くよ?涙?欠伸してたからだけど」
その他
公開:21/09/01 09:57

セイロンティー( Cherry Blossoms island の傍 )

初めまして。昔から小説を書くのが好きでした。ショートショートの魅力に取り憑かれ、日々ネタ探しに奔走する毎日です。
小説のコンセプトは【ドアノブの静電気くらいの刺激を貴方に】です。
皆様、どうぞ宜しくお願い致します。

※ツイッター先にて小説家になろうへのリンクあります。そちらで長編ミステリーコメディーを書いています。よろしければ、こちらもよろしくお願いします。

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