猫かぶり

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「君の机、綺麗にしておいたよ」

朝学校へ行くと、クラスメイトにそう言われた。
昨日まで落書きだらけだった机は、すっかり新品みたいに綺麗になっている。

「みんなで頑張ったんだよ」
「うん、ありがとう」

クラスメイトが、集まってきた。みんな、にこにこ笑っている。

「準備も出来てるから、大丈夫だよ。みんな、君を見送りたいんだ」

そう言って背中を押される。

「ほら、もう、サヨナラしようぜ。早く、早く」

クラスメイト全員の視線が背中に刺さる。
その視線があまりに痛くて。



僕は、4階の教室の窓から飛び降りた。



「…さて、あれ飾ってやれよ」

クラスメイトの一人がそう言うと、他のクラスメイトが花瓶を持って来て、机の上に置いた。

揺れる一輪の菊には、ゴミ箱に捨てられたボロボロの教科書がしっかりと見えていた。
その他
公開:21/08/29 10:40

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