田舎町の怪談

田舎町のその坂には街灯がなく、急勾配を登っていかなければならない。
「露出狂が出るらしいよ」
「そうなの？　街灯くらい付けてほしいもんだわ」
そんな話をした帰り路は息が切れて、彼女は悍ましくてたまらなくなった。何かいるのではないかと、寒さも相まって動けなくなる。
振り返ると女がいた。
彼女がまだ幼い頃、口裂け女の話を聞いた。
その坂には街灯はあるが、夜になると口裂け女が出るので、通ってはいけないらしい。子どもが夜出歩かないよう、この田舎町の大人が作り話をしただけだと思っていた。人間はこわいが、都市伝説やお化けはこわくないと。
しかし、顔を覗き込むと、口裂け女がそこにはいた。
「露出狂よりもっと怖いもの、見れたでしょう？」