刺さる言葉

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カタカタカタカタカタカナカンジ

妻が無言で俺の言葉を拾い、ぞんざいに机にばら撒く。
「なんだよ。俺の言葉拾う事ないだろ?」
「これが、『バカ』『お前は働かないからいいよな』『うるさいな』ちゃんと見なさいよ!」
「ハイハイ見ました。それでどうしたの?」
「私、この言葉を持って裁判所に行き、離婚手続きします」
妻は俺の心無い言葉を集め、バッグに詰めた。
「そういう言葉だけ寄せ集めたって、裁判所は見抜くよ!」
「じゃあ貴方、私に温かい言葉かけた事ある?」
確かに妻に労いの言葉なんてかけた事がない。
「そんなガタガタ言わなくても、ちゃんと生活できるんだから有り難く思え!」
俺は怒鳴り、恐れをなした妻は心なく「へ」と呟くと、『へ』をブーメランのように俺に投げつけ、『へ』は俺の頭に刺さった。
「言葉の暴力って、貴方は本当に痛い思いをしないとわからないの?バカね」
去る妻にそう言われ、心に刺さった。
その他
公開:21/08/28 23:50
更新:21/08/29 05:44

さささ ゆゆ( 東京 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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