殺し屋

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時計を見てため息を吐く。あれは1か月ほど前になるか。
最初から妙な奴だった。青白い顔をしてやってきて「私を殺してください」と言いやがる。
自殺するのに金を払う馬鹿がどこに居る、飛んだ変態野郎だと思った。
話を聞くと変態野郎に変わりはなかったが、何度も自殺に失敗しているのだと奴は言った。
そんな気味の悪い趣味に付き合う気はないと言ってやると「ここらで最後の殺し屋もこの程度か」と舐めた口を聞きやがる。
俺は引き受けることにした。金は持参していたから直ぐに実行してやったさ。リボルバーを頭にバン。簡単な仕事だった。
しばらく死体を眺めながら麦溜を舐めていると、奴は息を吹き返した。
何度か咳き込んで上半身を持ち上げると「銃を向けられた恐怖で先に失神してしまった」と抜かしやがった。
そして「また明日来ます」と出ていった。

時刻は23時。また奴がくる。
今日殺せなかったら足を洗って田舎に帰ろうと思う。
その他
公開:21/08/28 00:14
更新:21/08/28 00:56

太郎犬( 日本 )

読書量も文章力も想像力もまだまだですが、ちょっとずつ投稿していきます。
コメントいただけると嬉しいです。
 

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