コードレス

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とにかく売り言葉に買い言葉の親子だった。口うるさい母に減らず口の私。放っておけば永遠に続きそうな詰り合いはいつも、母の平手打ちで幕を閉じる。監視の目を緩めない母、成長するにつれ自立したい私。愛は確実に執着へと変わり、教育は強制に変わっていた。もう限界だ。ついに私は母と繋がるコードを切る決心を固めた。うちの家電は全てコードレスだ。私のイヤホンもワイヤレスなのだ。「これからは母レスの時代だ!」
ジョキンッ。
私と母を繋ぐコードはあっさり切れた。怒ることをやめた母。突っかかるのをやめた私。2人を繋いでいた捩れたコードは私たちから自由を奪っていたんだ!!
母は私への執着をやめ趣味に没頭した。私は母が楽しんでいることを喜び、母の知らない恋もした。
「私達、コードレスになって寂しい?」と聞いた私に母は、「なんで?血は繋がってるやん」と笑った。この言葉で安堵した私が、実は母に執着していたことに気付いた。
その他
公開:21/08/27 15:28
更新:21/08/27 18:08

ほんだのほ

◉「隕石家族」✖︎ショートショートガーデン コラボ
で、【白ネギ家族】が巨大隕石賞を受賞。

◉せたがや朗読教室プチプラージュ主催の朗読会で【おいしい色鉛筆】を朗読していただけることに。

日時:9月23日(祝木)11時~12時
場所:日本近代文学館
朗読出演者:10名(5名は高校生)
観覧者:最大30名(会場の定員は120名)
入場料:無料
主催:せたがや朗読教室プチプラージュ 
目的:10代~20代の朗読活動を応援するため
朗読形態:全文をそのまま朗読(1人2作品)
※公演が中止の場合は動画または録音によりYouTube公開


皆さんの心に少しでも引っかかるような作品を届けたいです⭐︎

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