YESマン

「パン買ってこいよ」
「はい」

「掃除変わって」
「はい」

「ちょっと金貸して」
「はい」

「この仕事代わりにやっといて」
「はい」



「はい」としか言えないYESマン。何もかも押し付けられて、あまりにも見てられない。

「ねえ」
「はい」
「嫌なことは嫌って言いなよ」
「…え？」
「だから、断って良いんだよ。自分の仕事ぐらい、自分にやらせれば」

そこまで言って、目の前のYESマンの変化に気付く。小刻みに、怯えるように震えるその姿に。

「どうしたの！？」
「はい、いや、いえ、いいえ、わたし、私は」

そのままYESマンは駆け出した。ブツブツブツブツ、何か呟きながら。

「…なんなの？」
「ああ、やっちゃった。駄目だよ、あれはほっとかないと」
「え？」
「あいつは『はい』って答えることしか知らないんだから。それ以外の選択肢なんて与えたら爆発するんだよ」

だからYESマンなのさ