この石鹸

沼にはまる事の始まりは、だいたい初めての美味しい思いから始まるそうだ。


「あんたギャンブルに味を占めたんじゃないかい？」
頭ではわかっている。でもやめられない。

どんどんのめり込んで、手を染めるようになると抜け出すのが大変だ。

「もうあんたギャンブルから足を洗いなよ」
わかっていても依存から抜け出せない。


その男は奇妙な石鹸を売りつけてきた。
「これでギャンブルやめられますよ。あっしは極道からも足を洗ったくらいですからね。いいもん教えてもらったんっすよ。これで大丈夫っすよ。
これですかい？これは何からでも足を洗えるすごい石鹸なんっすよ。ひとつ３０００円のところ今回は１５００円でいいっすよ」

「この石鹸でギャンブルから足を洗えるんすよ」
その男から石鹸を買った。



「あんたもこの石鹸で麻薬から足を洗いなよ。これさえあれば何からだって足を洗えるんだ。１個３０００円を今回は…」