無茶もし

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 「恐怖」そんなん、やっぱり怖いもんは怖いやん。なのに、怖いからこその存在価値を認めている俺に、「恐怖」に営業に行ってきなさいという指令が下された。
 そこは、でも「えっ、何で俺?」などという思いは全く顔に出さず、
 「はい」
 
 ああ、嫌だ。ああ熱い。脇の汗が不快極まる。
 が、そこは俺も言うても昨年から一国一城の主。養っていかんとならん家族がいるのだ。ええ年こいて、
「恐怖!!」などとは言ってられない。
「家族の為、家族の為」と呟きながら、真っ新のワイシャツを着、折り目のきちんとした‥‥

 ああ、血まみれである。無残だ。やっぱりだ。オッヅ通りだ。やめておけば、いや、そんな事はない。
 今、血だらけの俺は本当に神々しい。「恐怖」に立ち向かった者だけが持つ神々しさ。それの何と美しい事か。        「立ち向かって良かった」と思えた瞬間、妻の会心の一撃が、俺の頭部に振り落とされた。
その他
公開:21/08/28 09:02

忽忽

田丸氏の「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座」を読み、その創作方法の斬新さ、面白さに驚き、超ショートショートを創ってみたところ、本当にできてしまい、驚愕してしまった結果、こちらに投稿させていただこうと思った次第です。よろしくお願いいたします。

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