怪談百物語

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深夜、丑三つ時だった。
ついに百個目の怪談を終えたとき、絵奈がろうそくを吹き消した。
白い煙は闇の中でぼんやりと発光し、次第に人の輪郭を作っていく。
「え、もしかして本物!?」
「…そう、何を隠そう私が本物の…」
「出た!幽霊だあああ!」
泰斗が大声で言った。
「…違います。私は外宇宙から来たエーテル知的生命体イポ…」
「幽霊だあああ!」
百花も言った。
「…だから違いますって!」
「違わないもん、幽霊だもん!私がろうそく消して幽霊呼び出したんだもん!絶対に幽霊だぁ!!」
絵奈が叫んだ。
「ああ、うん。でもね…」
子供たちの手拍子が始まった。
「幽霊っ!幽霊っ!幽霊っ!」
「…そうとも言う。だいたい合っているかもしれない」
「どっから見ても、幽霊っ!」
「……はい、そうです!私が幽霊です!!」
わーっと拍手喝采!
こうして真夏の怪談百物語は大いに盛り上がり、クライマックスを迎えたのだった。
SF
公開:21/08/26 01:00

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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