ガラスの小瓶

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私の身の回りはガラスの小瓶で溢れている。
調味料の小瓶。化粧品の小瓶。薬の小瓶。ジャムの小瓶。どれも私を幸せにするものだ。
私は中でも母が塗ってくれる馬油が好きだ。母の優しい手が大好きだ。母手作りの化粧水は肌の弱い私の必需品だった。
でも皆はそれを笑う。貧乏臭いとバカにする。私はそれを気にしない。それを気にして心まで貧しくなってしまいたくないからだ。
皆は知らない。雨漏りとそれを受け止めるガラスの小瓶が生み出すアマモリズムを。
皆は知っているつもりでいる。インターネットで何でも調べられると豪語し、自らは透明な小瓶の中で井の中の蛙になっている事に気付いていない。
世の中はガラスの小瓶で溢れている。少し手を伸ばせば、固く冷たい世界から飛び出せるのに自ら蓋をして出て行こうとしない。
壊れやすい世界を大切にするのはいい。
だけど、小瓶程度の小さな人間ではなくそれを手に持つ器の大きな人になるべきだ。
公開:21/08/25 20:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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