地縛霊

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介護職に就いてから三年。夜勤をやる事になった。

「山口さん。気を付けてね。ここ……出るのよ」
「出る?」
「そう。地縛霊っていうの?うちの職員はね、皆夜勤が嫌で辞めていくの」
「大丈夫ですよ。私、霊感なんてないし、霊なんて生まれてから一度も見た事ないですから」

静寂が訪れる施設の中、深夜の見回りをしていると物音が聞こえた。近藤さんの部屋だ。

「近藤さん?起きてるの?」

何も返事がない。部屋のドアを開けて近藤さんの部屋に入る。近藤さんが青い顔をしてブルブルと震えていた。

「近藤さん?」
「あ、あの女が……。あの女がいるの……。わ、私…死ぬの……?嫌だ……死にたくないわ……助けてぇ……」
「大丈夫ですよ。怖い夢見たんですね。さあ夜遅いですから寝ましょう」
「う、上……」

私は近藤さんに言われて上を見上げた。天井から女の顔がじっとこっちを覗いていた。

次の日、近藤さんは亡くなった。
ホラー
公開:21/08/25 20:15

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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