ガラスの小瓶

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父は細かい人だった。どれくらい細かいかと言うと、ジャムの空き瓶の中にミニチュア模型を並べてスノードームを手作りしてしまうほど細かな作業が得意な人だった。
スノードーム自体、素敵だとは思うが元がジャムの瓶だと若干の貧乏臭さは否めない。
子供の頃はそんな父とよく散歩しては道に落ちている木の実を拾った。秋に拾った松ぼっくりやどんぐりは翌年の夏、逆さまにしたガラスの小瓶の中に仕掛ける事で風鈴代わりにしていた。おかしな風鈴の音に家族皆で笑っていたっけ。
そんな父に私はよく似ていると言われる。どこがだろう?顔は母親似だし、手先の不器用さも母譲り。何が似ているのだろう?
「貴方の作るジャム。果物と砂糖の量から煮詰める時間まできっちり細かく決めているでしょ。そこがあの人に似ているの」
今日もウチの冷蔵庫には私特性のいちごジャムを詰めたガラスの小瓶が並ぶ。丁度いい甘さは私の細かな調整によるものである。
公開:21/08/24 20:25

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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