幽霊船

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満月の夜になると幽霊船が見えるらしい。そんな噂を聞いた俺は、満月の夜に海に来ていた。幽霊船を一目見たい。しばらく夜の静かな海を眺めていると、突如、霧が現れた。そして辺りが見えなくなった。しばらくすると霧が晴れた。そこに一隻の船の姿を見つけた。あれが幽霊船か。間違いない。やっぱりあの船だ。俺は泳いでいき、幽霊船に乗り込んだ。そして叫んだ。

「ルカ!!いるんだろ?ルカ!!返事しろ!!」

四年前、福引きで当てた豪華クルーズのペアチケット。俺はそこに幼馴染のルカと行った。だが船は、岩礁に乗り上げて沈んだ。沈んでいく船の中でパニックになり、ルカとはぐれた。救助された人の中にルカの姿はなかった。ずっと後悔していた。ルカにもう一度会いたい。目撃された幽霊船の特長があの船と似ていた。だからもしかしてと思った。

「やあ、レオ」
「ルカ……」

俺は、もうお前のそばを離れない。
船と共に俺も消えた。
公開:21/08/25 09:59

富本アキユ( 日本 )

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Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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