その後おだやかな声

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「全くもって逆なのである。ほんまは今とは逆の状況になっていないといけないのだ。何でこうなったんやろ?」
「そら、あんた従順すぎたんやで」
「えっ、何に?」
「世間様にや。世間様の顔色ばっかり気にしてたやん、自分」
「ま、そらぁ。っちゅうか、誰?」
「俺?俺、あんたや。あんたの中あんたや。あんた、色々欲しがり過ぎやって。あれは身につけとかんと、あれは知ってんと、あれぐらい家に置いとかんととか。もうちょっと、自分持たんな。世間様の為に生きてるんとちゃうやろ」
「そら、そうやけど、バカにされるのん嫌やん」
「バカにする奴なんか放っといたらええねん。どうせそんな奴は他人をバカにせんと、不安でしゃあない奴なんやから」
「欲しがり過ぎかぁ」
「欲しがり過ぎやぁ」
 などと話している自分達を眺めている僕は、完全無欠のたっかい、たっかい橋の欄干から飛び降りている最中なのです。
その他
公開:21/08/22 13:04

忽忽

田丸氏の「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座」を読み、その創作方法の斬新さ、面白さに驚き、超ショートショートを創ってみたところ、本当にできてしまい、驚愕してしまった結果、こちらに投稿させていただこうと思った次第です。よろしくお願いいたします。

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