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「わしに勝ったら、好きなものをやろう」
うちの爺さんは、将棋と骨董品集めが趣味だ。将棋はそこまで強くないが、歴が長いので、あらゆる戦術を知り尽くしている。俺はまぐれで勝っては、小遣いや訳の分からない骨董品を貰う。
この歳になって本気になったのか、爺さんは親戚やら近所の方やら将棋仲間やら、みんなに同じように言い始めた。爺さんの骨董品は有名だったので、いろんな人が来た。

そんな爺さんが入院した。病室にまで将棋盤と駒を持ち込んで、俺とも、見舞いに来た人とも、将棋を打っていた。俺は一番、爺さんと将棋を打っていたので、さすがにいい戦いをしていた。
「強くなったな。こんなにわしとも戦って」
「強くてもたまにしか来ないようなヤツより、いつも打ってる俺の方が、爺さんの事は分かるよ」

爺さんが死ぬ時。
「これで、遺品整理は終わりじゃ…」
骨董品は綺麗に無くなり、爺さんは安らかな笑顔でこの世を去った。
その他
公開:21/08/22 13:00

お弁当係

2021年7月、投稿開始。
小説を読むのが好きですが、書くのも楽しそうで始めてみました。
読んでいただければ幸いです。
 

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