落札者は誰だ

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男は何かで成功したいという安直な野心はあった。
昨今の起業は大抵IT業界というきらいがあるが当然知識は持ち合わせていない。
単にこの男、楽して金を稼ぎたいだけである。
安酒をくらいながら夜空を眺め、あることを思い出した。
パソコンのブラウザを起ち上げる。
「月でいけるなら他もいけるんじゃないか」
空には満月が輝いている。
そして彼はフリマサイトに太陽系の惑星を次々出品しだしたのである。
昔、月の土地を販売していると知り驚いた事を思い出したのだ。
当然、誰にも相手にされず時間は過ぎたが
突然一番高値を付けた太陽に落札の申し出があった。
そしてコメント欄に
「太陽は購入後、持ち帰りは可能ですか」と問い合わせがあった。
「ふざけやがって」と、どの口がほざくとばかり男は半笑いで独りごちた。
そして「もちろんです」と返信し寝た。

ぐっすり寝た男が目覚めると何故かまだ夜だった。
やけに外が騒がしい。
SF
公開:21/08/22 00:17

吉田図工( 日本 )

まずは自分が楽しむこと。

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